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紅斑熱群リケッチア症は 1984 年に徳島県では じめて患者が確認されたのち,日本各地に存在 することが明らかとなった.神奈川県でも 1992 年 7 月と 9月に 2名の紅斑熱群リケッチア症の患 者が発見された.紅斑熱群リケッチアは媒介動物 がダニ類であると考えられているが詳細は判明し ておらず,媒介動物を決定することは感染予防の 点からも大切なことである.そこで,神奈川県, 島根県及び高知県の患者発生地域より採集したダ ニ類から PCRを用いて媒介動物の検索を行った. 材料と方法 神奈川県秦野市ヤビツ峠,神奈川県愛甲郡清川 村宮が瀬,島根県簸川郡大社町及び高知県室戸市 椎名において,縦横 1mの白い布を用いた旗づり 法で採集したダニ類を使用した(Table 1).ダニ類 を半分に切断し,滅菌 PBS(-)を加えよくつぶ した.この懸濁液を酸・アルカリ処理し鋳型 DNA溶液とした. リケッチア属の共通抗原 17-kDa タンパク質を コードする遺伝子からリケッチア属を増幅するプ ライマー R1,R2 及び Rickettsia japonica(R . japonica)のみを増幅するプライマーRj5,Rj10 を合成した.PCRの反応容量は 50μl(PCR mixture 45μl,鋳型DNA溶液 5μl)を標準とし た.また 1st PCRで十分なDNAの増幅がみられ ない場合は,1st PCRの反応産物を鋳型として 2 nd PCRを行った. 結果と考察 採集したダニ類 1,522 匹について PCRによる リケッチア属及び R. japonica の遺伝子の検出結 果をTable 1 にまとめた.この結果から,神奈川県 ではオオトゲチマダニ,フタトゲチマダニ,キチ マダニ及びヤマトマダニに R. japonica とリケッ チア属の遺伝子が検出された.島根県ではフタト ゲチマダニから R. japonica の遺伝子とリケッチ ア属の遺伝子が検出され,オオトゲチマダニから はリケッチア属の遺伝子のみ検出された.高知県 ではフタトゲチマダニから R. japonica の遺伝子 とリケッチア属の遺伝子が検出され,タカサゴチ マダニからはリケッチア属の遺伝子のみ検出され た.島根県と高知県では R. japonica の遺伝子が検 出されたのはフタトゲチマダニのみであった.以 前の報告では,神奈川県ではフタトゲチマダニ が採集されず,媒介動物はヤマトマダニとキチマ ダニが考えられた.しかし今回は神奈川県におい てもオオトゲチマダニやフタトゲチマダニも採集 神奈川県,島根県及び高知県で採集されたダニ類からの

Detection of Spotted Fever Group Rickettsiae DNA from Ticks in Kanagawa, Shimane and Kochi Prefectures