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スギ花粉症は今や国民病となっており,スギ花粉の飛 散予報は天気予報と同じくテレビ,新聞,インターネッ トで報道されている。しかし,スギ花粉の飛散が終了 した後も,引き続いてアレルギー性鼻炎症状を訴えた り,症状が軽快した後にもう一度,悪化する患者が認め られる。このような花粉症の遷延化や再増悪の原因の一 つとして,ヒノキ科花粉がある。ヒノキ科花粉はスギ花 粉より遅れて飛散し,スギ花粉と共通抗原性を持つた め,スギ花粉症患者はヒノキ科花粉にも反応してアレ ルギー性鼻炎症状が遷延化することが多い。また,徳島 県では,平成18年はスギ花粉の少量飛散年であると予報 されていたにもかかわらず,ヒノキ科花粉が大量に飛散 し,多くの花粉症患者が耳鼻咽喉科を受診した。このよ うに,ヒノキ科花粉は,スギ花粉の予報から得られる予 想を上回る花粉症の増悪の原因の1つである。 近年,西日本を中心に植林の主体がスギからヒノキへ 変化し,ヒノキの森林面積の増加に伴いヒノキ科花粉の 飛散量が増加し,スギ花粉の飛散量よりもヒノキ科花粉 の飛散量が多い地域が認められるようになってきた。 花粉症の治療および予防のためには花粉の飛散状況を把 握することが重要であり,スギ花粉と同様にヒノキ科花 粉の飛散予報の確立が必要である。我々は,徳島県にお けるヒノキ科花粉の飛散状況を昭和56年より平成19年ま で26年間にわたり測定し,ヒノキ科花粉の飛散状況を報 告するとともに,ヒノキ科花粉の飛散と気象因子との相 関についても検討した。

Cypress Pollen Dispersal for 26 years in Tokushima