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歯肉炎や歯槽膿漏症の臨床症状は一見極めて単 純で,ど の症例でも似た りよつた りの現れ方 をす ると思われ勝 ちである。 然 し少 し念入 りに眺めてみると思いのほか複雑 で,症 状の性質でも強さでも個体に よつ ては勿 論,同 一個体でも部位 によつて全 くまちまちに現 れていることに気が付 く。殊に時間的な変化の違 いは想像以上に大きい。 歯肉炎や歯槽膿漏症 の症状の このような複雑 さ,動 き易さは症状の背後にある歯周組織内部の 生物学的な流れが常に活撥な変動を続けているた めにおこるものと考えられる。 従つてもしこの生物学的な流れを計測する適当 な方法があれば,わ れわれは臨床症状の診査 と共 にそれを利用 して問題の歯肉炎なり歯槽 膿漏症な りをより精密に且つ客観的に見極めることが出来 る筈である。またそれによつて臨床症状の消長を 単に軽減,消 失,増 強 といつた量的な捕え方をす るだけでなく多少 とも具体的,生 物学的に意味づ けすることも出来る筈である。

Biochemical Studies on Exudate from Gingival Pockets of Patients suffered from Periodontal Disease