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2.読唇技術のための実験 2.1 実現可能性の検討 読唇技術の実現可能性を検討するために,先 天的に聴覚障害があり,幼少の頃から読唇・ 発声の訓練を受けてきた男子学生の協力を得 て,実際に読唇術を再現してもらった。予め 録画した無音の映像を見て,その発話内容を 推定してもらったところ,個人的な情報以外 はほとんど全てを言い当てることができた。 その後,読唇術の方法や注視点について聞き 取り調査を行った。特に,口元(唇や舌の動 き)に注目し,頬や喉はほとんど見ていない ことや,知識や経験に基づいて発話内容を補 って推定していることもわかった。 以上より,口の輪郭形状の変化および舌の動 きを捉えることによって,「読唇技術」の開発 が可能であると判断した。 2.2 唇の輪郭形状の取得 唇の輪郭形状を取得するための画像解析手 法について調査・実験を試みたが,満足ので きるものがないことがわかった。そこで,2次 元ビデオ動作解析ソフトウェアを導入するこ とにした。 手話や口話を通して手話コーラスや手話劇 をする手話サークルに所属する学生に協力を 依頼し,発話時の唇の動きを計測する実験を 行った。実験の手順は,以下の通りである。 1) 研究の目的や実験手順等を実験協力者に 説明し,同意書(インフォームド・コンセ ント)を得る。 2) 協力者の唇の輪郭に沿って特殊な蓄光テ ープを貼り,十分に蓄光させる。 3) 暗室において,ディスプレイに順次表示さ れるひらがな文字(ランダムに配置された 日本語の五十音および拗音,濁音)をメト ロノームに合わせて発音してもらい,その 時の口元をディジタルビデオカメラで撮 影・録画する。文字は,2 秒間隔で表示さ れる。 4) 最後に,ディスプレイに表示された詩 を 読んでもらい,一連の実験を終了する。 蓄光テープを用いた実験の様子と取得した 画像の一例を図 1に示す。

Development of 'Lip Reading' Method using Fourier Descriptors