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1. 背景と目的 わかりやすさは都市環境に限らず街路や建物 から機器にいたるまで様々なプロダクトデザイ ンに関しても共通する課題といえる。また、わ かりやすさは単なる利便性に関わるばかりでは なく、一定基準のわかりやすさが満たされない 場合には問題が生じるケースもある。例えば、 高齢者施設の場合は迷いが認知症高齢者に対 し、混乱を引き起こしたり、スムーズに施設に 環境適応できず、後々の生活にも問題を生じさ せる。こうしたケースにおいてはわかりやすさ に関する配慮が不可欠である。一方、ユニバー サルデザインといった障害者や高齢者、子供も 含めあらゆる人にやさしい環境作りを行うに は、認知的なアプローチによる評価が有効であ ると考えられる。 そこで、本研究ではWASS(視覚シミュレー ションシステム)の開発を行い、高齢者施設を 対象とした繰り返し経路探索実験の際の主注視 地点の注視回数推移からわかりやすさに関する 具体的なアンカーポイントの特定を行った。ア ンカーポイントは単なる目印ではなく、空間把 握の基点であり、空間理解の骨組みを成すもの であることから、具体的なアンカーポイントの 分析は、わかりやすい施設の空間計画を行う上 で有効な知見を得られると考えられる。また、 本研究ではWASS の特性を活かし、視覚障害 を再現した場合の実験も併せて行うことで、多 面的にアンカーポイントの検討を行う。

The study on the anchor point speciation about the legibility of normal and low vision condition in the nursing home