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サハリン(樺 太)は 南北600kmに わたる長い 島であ り,そ の面積はほぼ北海道に匹敵する。サ ハリンは現在ロシア領であるが,1905年 のポーツ マス条約によ り南樺太が 日本領 とな り1907年 (明治40年)に は樺太庁が設置 され,1920年 から 1925年 の間,北 樺太も日本の占領時期があった。 1925年 に日ソ国境調印がなされ,そ れ以後1945 年の第二次世界大戦終結 までの20年 間,樺 太南 部は日本領土であった。第二次世界大戦後長い間, 科学的交流が限られていたが,1970年 代末頃より 徐々に活発 となった。1979年 に行われた 「太平洋 学術会議」や数回にわたる 「日ソシンポジウム」 などはその土台 となった。1980年 代には日本人研 究者による本格的なサハリン島の調査が実施 され はじめ,そ れまでの日本列島域の研究などとの整 合性が急速に整い始めた。たとえば編者 らによる 研究の開始も1980年 代であった(1983年 小笠原 憲四郎:学 術振興会 「サハ リン・カムチ ャッカの 新生代貝類化石 と本邦の比較研究」 や1987年 木 村 学 ・奥村晃史:東 京地学協会助成 「サハリン 島の白亜紀付加体の研究」や1990年 木村 学代 表:「 海外学術調査:サ ハリン白亜紀付加体の地 質学的研究」など)。1980年 代末のソ連のペ レス トロイカ時代,研 究の交流は急速に拡大 し,編 者 らの他にも北海道在住の研究者とサハリン研究者 間の民間ベースでの交流なども広がった。 しか し, これらの活発化 した交流 も1990年 代初頭のソ連 邦の崩壊 とロシア共和国としてのサハリンとなる 中で,一 時的な中断を余儀なくされることもあっ た。しかし,1990年 代後半再び,研 究交流の活発 化がはじまった。それは経済的に困難な状態にあ るロシア研究者との共同によって共に地球科学の 発展を支えようというものである。特 に1995年, 兵庫県南部地震の直後に発生 したネフチェゴルス ク地震がネフチェゴルスクの町をほぼ全滅 させた ことを契機として活断層研究や地球物理学的な共 同研究をも巻き込んで急速に広がった。 本特集はそれらの研究の一部をまとめたもので ある。 文部省科学研究費国際学術研究 ・学術調査 「環 オホーツク海地域の後期新生代の古環境変遷: 1995・1996年 度実施,代 表者,小 笠原憲四郎,課 題番号07041083」 と文部省科学研究費国際学術研 究 ・学術調査 「極東ロシアにおけるテク トニクス と活断層の総合調査:1997・1998年 度実施,代 表 者,木 村 学,課 題番号09041111」 の成果,北 海 道の研究者によるサハリン研究,地 質調査所によっ て実施 された活断層調査の一部について特集を組 んだものである。前半は日本列島より高緯度に位 置する主に第三系,第 四系の地層群の調査結果 を もとにして展開された古環境の推定と,そ のグロー バルな位置付けについて議論 されたものを特集 し た。後半は活構造,変 動地形などからみた現在 も 進行する変動帯としてのサハリン,お よび第三紀 *東 京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻 **筑 波大学地球科学系 ***広 島大学文学部地理学教室 * D epartment of Earth and Planetary Science, University of Tokyo ** Institute of Geoscience , University of Tsukuba *** D epartment of Geography, Faculty of Letters, Hiroshima University

A Special Issue: Geology and Geomorphology of the Sakhalin Island