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近年,食糧自給率の向上やアレルギー対策のために米粉 を用いたパンが普及している.しかし,米粉を用いたパン の多くは小麦から抽出したグルテン,増粘多糖類,米 以外の穀物などを添加することで生地を増粘させて製パ ンしている.この理由は,一般的な米粉,すなわち結晶性 澱粉含有米粉のみでは水と混ぜても生地の粘度が低いため, 製パン時にパンの気泡を保持出来ないからである.米粒の 主成分は天然高分子である澱粉である.澱粉は水と共に加 熱すると,澱粉粒が吸水→膨潤→崩壊→分散の一過をたど る.この一連の過程を澱粉の糊化現象と呼ぶ.膨潤の過 程において,澱粉/水懸濁液の粘度は上昇する.また,澱 粉を構成するアミロースとアミロペクチンの組成比や水分 量により糊化温度が変化する.糊化に伴い澱粉/水懸濁液 のレオロジー特性も変化することが知られている.合 成高分子であるプラスチックでは材料を発泡に適したレオ ロジー特性に制御することによる発泡成形技術がある. 製パンも生地に気泡を保持させる発泡成形であると考えた 場合,米粉生地を製パンに適したレオロジー特性に制御す ることで米粉のみでも製パンが可能であると考えた.この ような考えのもと我々の研究グループでは,加水のみで高 い粘性を示す非晶性澱粉含有米粉を添加し,米粉生地のレ オロジー特性を制御することで米粉100%パンの開発し た.一方で,パンと同様に小麦粉を用いた含泡食品と してスポンジケーキ等に代表されるケーキがある.パンの 場合,発泡剤として主にイーストが使われ,気泡の成長は 発酵時の一定温度下で進む.これに対して,スポンジケー キの場合,発泡剤には主にベーキングパウダーが使われ, 気泡の成長は焼成時の昇温過程で進む.スポンジケーキの 気泡は,卵白の起泡性と熱硬化及び小麦タンパク質のグル テンにより形成・保持される.そのため卵,小麦を用いず にスポンジを作ることは困難である.そこで我々は,前述 した米粉100%パンにおける生地のレオロジー制御技術を スポンジケーキにも適用することを考えた.本研究では, 昇温過程における生地のレオロジー制御を行うことで,卵 白や小麦グルテンを含まないスポンジケーキ成形を試みた. 具体的には,昇温過程における生地のレオロジー特性と発 泡剤であるベーキングパウダーの分解挙動がスポンジ成形 性に与える影響を明らかにすることを目的とした. 米粉生地のレオロジー制御がスポンジケーキ の成形性に与える影響

Effects of Rheology Control of Rice Flour Batter on Sponge Cake Formability