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2.「間違い探し」の試験問題を導入した経緯 著者らが勤務する機械工学科では,1年次後期と2 年次前期に,主に見本の図面をトレースさせながら製 図規則を教授している.学生はいくつかの課題をそれ ぞれ決められた期限内に描き上げて提出することにな るが,教員はかなりの数の図面を提出日にチェックし なければならない.例えば,2年次前期の場合,再履 修者を含めると180名前後の学生を2グループに分け, それぞれ2~3名の教員でチェックしている.そのた め,提出日にはチェックを待つ学生が長蛇の列をなす ことになる.提出日直前に慌てて描き上げた学生は, 完成度の低い図面を持参して教員に「間違い探し」を させるため,教員はほとんどの時間を“見本の図面ど おりに描けているかどうか”のチェックに費やしてい る.その結果,提出図面の評価も見本の図面通りに描 けているかどうかで行われ,製図規則が本当に身につ いているかどうかまでは確認できていないのが現状で ある.限られた時間を有効に活用するために,学生が 犯しやすい誤りをまとめた「提出前のチェックポイン ト」を作成して,学生自身に「間違い探し」をさせる 工夫もしてみた.しかし,効果があったのは,早い段 階で図面を仕上げた学生達であり,提出日直前や当日 に図面を仕上げている余裕のない学生たちには,あま り効果がなかった. 一方,製図の試験問題は,授業中に課題として出し た図面や教科書の中で説明用に使用した図,あるいは その類似図面を利用している場合が少なくない.試験 に引用された図が授業で使用した図と類似の場合,学 生は製図規則を正しく理解していなくても正解してし まう場合がある. そこで,著者らは,製図規則が正しく理解されてい るかどうかを確認することを目的として,誤った表記 を入れた図面の中から,その誤りを見つけさせる「間 違い探し」の問題を製図の試験に入れてみることにし た.「間違い探し」を試験問題に導入した例としては, CAD製図が製図規則の理解度におよぼす影響を調査 し,授業改善方法を提案した安井らの報告がある.

Comprehension Level Check of Drafting Rules by Using the Question of Searching for Wrong Notations in a Drawing