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長期透析患者における後天性腎嚢胞形成 (ACDK) は, 1981年頃より腎腫瘍発生との関連とともに, 貧血の改善因子として注目されている. しかし, ACDKと貧血の関連を原疾患別にみた報告は少ない. 今回我々は慢性糸球体腎炎 (CGN) およびこれまでACDKと貧血に関する報告の少なかった糖尿病性腎症 (DMNP) を原疾患とする慢性血液透析患者において, 腎体積, 腎嚢胞形成, 血液透析期間 (HD期間) およびヘマトクリット (Ht) 値について検討を加えた.血液透析患者53例 (CGN群35例DMNP群18例) に腎臓computerized tomography (CT) を施行し, 腎体積の測定ならびに嚢胞形成の観察を行なった. 透析年数はCGN群で平均6.3年, DMNP群で平均3.1年である.CGN群では透析期間と腎体積 (y=6.33x+51.9, γ=0.50, P<0.005), 透析期間とHt値 (y=0.87x+18.1, γ=0.60, P<0.001) との間に有意な正の相関を認めた. ACDKの発生は35例中24例で認められ, HD期間が長くなるにつれて増加し, HD開始10年以上の7症例での発生率は100%であった. また嚢胞6個以上の多発例もHD期間5年以上の症例にのみ認められた. 一方DMNP群の腎体積は透析の長期化につれて減少する傾向を示し, Ht値も不変であった. 嚢胞形成例も18例中3例に認められたにすぎず, またCGN群にみられたような嚢胞多発例は1例も認められなかった. またCGN群において嚢胞を有する患者群では嚢胞のない患者群に比してHt値が有意に高い値を示した. 対称的にDMNP群では嚢胞の有無とHt値との間に関連はなかった.以上, CGN, DMNP両群においては透析の長期化に伴う腎体積の変化, 嚢胞の発生率, 貧血の改善度に差があることが認められ, 血液透析患者の貧血改善に萎縮腎における嚢胞形成が関与している可能性が示唆された.

Acquired cystic disease of the kidney and improvement of anemia in hemodialyzed patients