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炭素繊維は密度がアルミニウム合金の 2/3 程度でありな がら,引張強度が 3~7 GPa,引張弾性率が 230~700 GPa と各々非常に高い.そのため,アルミニウム合金と比較す ると,比強度で 25 倍以上,比弾性率で 5 倍以上の値を示 す.CFRP(炭素繊維強化プラスチック)は,上記炭素 繊維の特性に起因する軽量,高強度・高剛性に加え,樹脂 材料との組合せで,さらに高い耐久性や耐薬・環境性,疲 労性,振動減衰性などを有する.航空機体,構造物の 補修や医療機器などに使用されてきており,さらに自動 車産業などの分野での使用拡大が見込まれている. しかしながら,CFRP の加工では層間剝離(デラミネー ション)やバリが発生しやすく,また,工具摩耗が激し い.ここで,CFRP の新規穴あけ加工法として,ジャ イロ式穴あけ加工法がある.この加工法では,図 1 (a)に示すように,砥石をその回転軸と直角方向にも同時 に回転させる機構をもち,この機構の実現可能な加工機が 図 1(b)である. 通常の砥石と異なり,本加工機に供する砥石はモーメン トを受けるため,メタルボンド砥石であることが望まし い.また,強度の著しく高い炭素繊維の加工のためには, 砥粒をダイヤモンドにする必要がある.しかし,高価なダ イヤモンド砥粒を加工に供しない部位までに分散させるこ とは不経済であり,剝離のおそれのない傾斜構造にするこ とにより,砥石の長寿命化が図れるであろう.これらの観 点を総合すると,円筒形状金属母相にダイヤモンド砥粒が 傾斜分散した構造が最適であると結論できる. 円筒形状の傾斜機能材料の製造方法として,遠心鋳造を 利用した遠心力法がある.強化相粒子が分散した金 属基複合材料を溶解し,遠心鋳造を行うことにより,溶融 母相金属と強化相粒子との密度差により組成傾斜を得る手 法である.強化相粒子は凝固過程で晶出する粒子であって もよい.遠心力法の模式図を図 2(a)に示す. しかしながら,上記目的の傾斜機能材料を製造するため には,ダイヤモンド砥粒が分散した金属基複合材料の使用 が前提条件となり,材料系が限られてしまう.複合化と傾 斜化が同時に行える製造方法に,遠心力混合粉末法があ る.図 2(b)に示すように,強化相粒子と母相金 属粒子からなる混合粉末を回転する金型に投入し,その 後,溶融母相金属を注入する.溶融母相金属は,遠心力に より混合粉末中に含浸すると同時に,その熱により混合粉 末中の母相金属粒子を溶融する.これにより,円筒形状の 外周部域に強化相粒子が傾斜分散した材料が製造できる.

Fabrication of Functionally Graded Grinding Wheels under Centrifugal Force and Their Application for Drilling of CFRP