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熱硬化性 CFRP 積層体は,直径 5~8 μm の炭素繊維 (直線状束や織物)をエポキシ樹脂のマトリックス内に包 含する厚さ約 0.3 mm のプレプリグを,CAE の解析結果 に基づいて炭素繊維の方向を考慮して積層後,オートクレ ーブで焼成して製造される.CFRP を構成している炭素繊 維とエポキシ樹脂は,機械的性質が著しく異なる材料であ ることから,CFRP 積層体は炭素繊維の方向に依存する異 方性と同時に異質性を内在している複合材料である. CFRP 積層体の切削加工に発生する品質上の不具合は, 炭素繊維の方向と切れ刃の作用方向に起因するものがほと んどであり,代表的なものがデラミネーションと呼ばれる 積層された炭素繊維が穴の入口・出口やトリミング時の端 面上下で剝離する現象である.一方,CFRP 積層体の切削 加工中に発生する高強度・高硬度な炭素繊維の粉末が研磨 材のような作用をして,工具すくい面や逃げ面に典型的な 機械的摩耗を発生させる.また,炭素繊維の粉塵は粉塵爆 発を誘発する危険性があると同時に,作業者が吸い込むと 粉塵公害を引き起こす危険性があるので対策を講ずる必要 がある. 図 1は板厚 2.5 mm,11 層の CFRP 積層体断面の顕微鏡 写真である.同図において,上下表面の 2層は厚さが薄い が,中間 7 層の各厚さはいずれも 0.3 mm で同一である. 炭素繊維の方向が 0°(紙面方向)の層は白く,90°(紙面 に垂直方向)の層は黒く撮影されている.図 2は上下の 表層が炭素繊維の編物であり,中間の下から 6 層,6 層, 11 層,6 層,3 層は,直線状の炭素繊維の方向が紙面と平 行の白色層(厚さ 0.3 mm)と同一厚さで,炭素繊維の方 向が順次異なる方向に積層されて焼成されたものである. 炭素繊維の方向が紙面と平行の層のみが顕微鏡写真に白く 撮影され,その方向が紙面と平行から異なると黒色に撮影 される.したがって,図 2 中の 3 層,6 層および 11 層内 の黒色の各層(厚さ 0.3 mm)内に含有されている炭素繊 維の方向はこの顕微鏡写真からは知ることができない. CFRP のマトリックス材である熱硬化性エポキシ樹脂 は,180~200°Cのガラス転移温度に達すると突然脆性化す る.それが原因で,ドリル加工した CFRP の穴内面には 図 3に示すような損傷が生成されることが確認されてい る.自動車用構造材料として開発中の熱可塑性 CFRTP は,生産性を考慮してナイロン系の熱可塑性樹脂をマトリ ックス材とするものであり,そのガラス転移温度が 100°C 以下の低温であることから切削加工する際には切削熱によ

Cutting of CFRP Laminates&mdash;By Focusing on Hole Making&mdash;

Cutting of CFRP Laminates—By Focusing on Hole Making—