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テラヘルツ(THz)波は,波長 30 μmから 3 mmまで 2 桁の広範囲にわたっている(周波数範囲で 0.1~10 THz). THz 波の中でも波長範囲 30~300 μmでは,地球大気の水 蒸気による吸収が極めて強く,日本の年間の平均的気象条 件(23°C-60% 相対湿度)の下で,THz 検出機器と対象物 の距離が 10 m 以上になるとほとんど透過しない.しか し,その距離が 1 m 以下だと大気の吸収が小さくなり, かなり透過する.一方,物質の透過に関し,ほとんどの プラスチックは波長 30 μm以上で,紙は波長約 100 μm以 上で透過率が高くなる.また,波長約 600 μm以上になる と衣服が透明になってくる. このように物質に対する THz 波やミリ波の高い透過性 を生かして,短距離での非破壊検査への期待が高まってい る.適用分野の候補として,紙製品,プラスチック製品, 半導体材料,コーティングや塗装のような多層膜から成る 材料等の非破壊検査,包装内の禁止薬物や爆発物の非開封 検査,食品・薬品中の異物検査等がある.また,生体高分 子のように分子量が非常に大きい分子は,分子全体のゆっ くりした運動や弱い水素結合に起因するスペクトルの特徴 を THz 領域に有しており,バイオメディカル用途への期 待も大きい.検査には画像やスペクトルを活用する手法が あるが,ここでは画像を取得するイメージング技術につい て述べる. THz カメラに搭載されているアレイセンサの開発には, 2 つの流れがある.1 つは,ボロメータ型の非冷却赤外 線アレイセンサ技術をベースにして THz 波という長い波 長領域に感度を有するセンサ,もう 1 つはシリコン CMOS 技術や化合物半導体技術の微細化の流れに乗った マイクロ波 IC 技術をベースにしてサブ THz のようなよ り高い周波数領域に感度を有するセンサである. 本解説記事では,(国)情報通信研究機構(NICT)の プログラムの下で開発したボロメータ型 THz アレイセン サとカメラの特性および画像例を示し,THz 波イメージ ング技術について述べる.同プログラムの目標の一つは, 従来開発した THz アレイセンサとカメラの,サブ THz 領域における感度を 1桁ほど向上させることおよび画素数 を増やすことである.

Development of Uncooled High-Sensitivity THz Array Sensor and Camera, and Application of THz Camera