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ける(図-2).この淀み点では主渦もまた強いストレッチ により不安定となり回転の指向性が変化するため,スパ ン方向に周期的な指向性の異なる交互交代渦度が生成さ れ,伸張強化に伴い発達する(Watanabeら,2005; 図-1 も参照).この三次元的に発達する渦度は,ξ軸に沿って 下流側では斜向渦(Nadaokaら,1989)として三次元整 構造を組織する.図-1から明らかなように,2次ジェッ トの発生からフィンガー化へ至る過程において,交互交 代渦内のx軸渦度成分のスパン方向への高波数変動(z軸 方向)だけでなく,着水点近傍の淀み点から x軸方向 (波の進行方向)へ低波数で変動するスパン方向渦度(z 軸渦度成分)が組織的に形成されていることがわかる. この章では,砕波後の水面変形を支配するスパン方向及 び進行方向への3次元渦度変動を決定する主渦及びせん 断流れに対する不安定モードを線型安定性解析によって 明らかにする. Peregrine(1981)は,渦とストレッチが支配する着水 過程を表す2次元淀み点流れを次式で与えた. (1) ここで,Γは渦度,x,y,zはそれぞれ水平,鉛直,スパ ン方向座標を表す(図-2).またSは,流速の指向性が急 変するジェットの着水と二次ジェットの跳ね上がりの間 におけるせん断率を与えるものであり,巻き波ジェット の入射速度及び角度から決定される.この砕波点近傍の 淀み点流れのをベースフローとし,x及びz軸方向の渦度 の不安定モードを求めていく.等波速C=(Cx,Cy)= C/ (S,Γ)で移動する座標系(ξ,η,z)では, 式(1)は次のように書ける. (2) ここで,ξ=x-Cxt,η=y-Cyt.このベースフローは, (ξ,η)平面上に一様な歪と渦度そして伸張を与えるも のである(図-3).擾乱流速 を含む流速場を以下の様 砕波の三次元渦構造,フィンガージェットの形成から飛沫の放出に 至る渦力学的不安定 Vorticity Instabilitties in Wave-Breaking Process: Formations of 3D Vortex Structure, Finger Jets and Sea Sprays