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ここで,ρaは空気の密度であり,CDは海面抵抗係数と 呼ばれる無次元量である. Powellら(2003)によって風速30m/sを超えるような 高風速時には海面抵抗係数が減少することが示された. Donelanら(2004)は,実験室内で同様の高風速場を再 現し,水槽内の平均水面勾配から,この海面抵抗係数の 減少を確認した.一方,国司・今里(1966)は,高速風 洞水槽を用いてU10が30m/sを超えるような高風速下にお ける計測を行っているが,海面抵抗係数の減少について は示していない. 一般に,30m/sを超えるような高風速条件の室内実験 では,気流速度を正確に計ることが極めて難しい.風波 は砕波し,波峰はちぎれ飛んで大量の飛沫が発生する. 熱線風速計などの熱変換タイプの風速計は,飛沫の付着 には対応しておらず,PIV計測においても大量の水滴が 側壁に付着することで計測断面を可視化することさえで きない.こうした理由から高風速条件における風波の室 内実験は難しいが,Donelanら(2004)が言及している 気流の剥離については比較的低風速下でも見られる現象 である(例えば,水谷ら,2002). 一方で,海面抵抗係数についても比較的低風速時に一 定値となる領域が存在する.Tobaら(2006)は,この低 風速時に相当する風波レイノルズ数RB =200~1000の領 域で,気流の剥離が発生し,結果として海面抵抗係数の 増加が抑制されることを述べているが,気流の剥離と海 面抵抗係数との関係が定量的に明らかとなっているわけ ではない. 以上のことを踏まえ,本研究では,波面上における気 流の剥離と海面抵抗係数の抑制との関係について検討 し,結果として生じる波面の状態との関係について明ら かにすることを目的とする.

Role of Air Flow Separation for Self-regulation Mechanism of Wind Waves without Wave Breaking