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近年,自動車の燃費改善および安全性向上のため,車体 の軽量化と高強度化の両立が求められてきた.このため, 車体構造部材には引張強さ 980MPa以上の超ハイテンの適 用が拡大している.自動車組立工程において,部材の接合 には主に抵抗スポット溶接が用いられている.しかし,超 ハイテンの溶接継手では,はく離方向の継手強度指標であ る十字引張強さ(Cross tension strength, CTS)が低下する場 合がある事が知られている.CTSは破断形態と相関があり, 母材または熱影響部(HAZ)で延性的に破断するプラグ破断 では高い CTSが得られるが,ナゲットで脆性的に破断する 界面破断の場合はCTSが低い傾向がある. このため,ナゲット形成後に後通電を行うことで CTSの 向上を図る溶接方法の検討がなされてきた.中でも,長 時間の冷却の後,長時間・低電流の後通電を施すテンパー 通電法の検討が多い.このテンパー通電法は,硬化した ナゲットを後通電により焼戻し,じん性を向上させ,ナゲッ ト内からの脆性的な破断を抑制する手法である.ただし, テンパー通電法はその効果を得るために少なくとも 0.8 s程 度の冷却時間が後通電の前に必要であり,施工時間が長時 間化するという課題があった. この課題の解消を目的に,最近では,より短時間の後通 電によりCTSを向上させる検討がなされている.例えば, HAZの軟化部拡大によりナゲット端部の開口応力の低減が 可能との報告,ナゲット端部における P濃化の解消により ナゲットの靱性が向上可能との報告などがなされてい る.中でも,著者らは継手強度と施工効率の両立を図るこ とが可能なパルス通電法(本通電の後,短時間冷却と短時間・ 高電流後通電を繰返す)を報告している.パルス通電法は 従来の通電法と比較して,高い CTSを確保可能で,かつ引 張試験時にプラグ破断となる後通電電流範囲が広いという 優れた施工性を有していることも明らかにしている. しかしながら,実際の溶接組立工程では多くの外乱要因 があり,実験室で試験片に溶接するような理想的な溶接状 態にはなく,種々の外乱が存在する.具体的には,部材同 士のなじみ不良による散り発生,既打点への分流,連続打 点時の電極先端の損耗などが挙げられる.これらの要因に より,同一の溶接電流でもナゲット径が変動し,継手強度 が低下する.一方で,これまでの後通電法に関する検討 では,本通電で一定のナゲット径が形成されることを前提 ナゲット径変動時の十字引張強さに及ぼす 短時間・高電流のパルス通電の影響 -超ハイテンのパルス通電活用抵抗スポット溶接技術の開発-

Influence of pulsed current pattern on cross tension strength of spot welded joint with nugget diameter variation