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我が国に架設されている多くの橋梁は高経年化により, 疲労き裂などの損傷が発生し,これらの補修補強が計画的 かつ効率的に進められている.補修補強では,添接ボルト 接合が一般的に適用されているが,溶接接合もその選択肢 の一つであり,交通に負担をかけない荷重作用下における 補修補強の要求が増してきている. 既往の研究では,手溶接を基本に,初層部に発生する高 温割れに着目,これを防止する観点から,割れ発生防止判 定式を基本とする溶接施工可否判定方法が提案され,実橋 への適用が報告されている.にもかかわらず,現在,補修 補強に溶接が積極的に採用されない理由に,施工管理の複 雑さに加え,初層部に発生する高温割れを防止するには, 溶接施工範囲が極端に狭いことがあげられる. これに対し,著者らは,産業界で一般に幅広く適用され ている高能率な炭酸ガス半自動溶接に着目し,静的荷重下 および繰返し荷重下の一パス溶接実験を行い,割れが発生 するか否かを調査検討してきた.結果によると,静的荷 重下の溶接では割れは生じなかったものの,繰返し荷重下 では,ギャップを有する I形継手において,Δδ(ルートギ ャップ間の変位)が 0.05 mmでも,割れの発生が確認され た.実際の橋梁では,Δδは約 0.2 mmまで生じることが報 告されている.このように,先行研究同様,プロセスの違 いに関わらず,繰返し荷重作用下の溶接では,初層部に発 生する割れを防止することは極めて難しいといえる. 一方,現場を想定すると,一パスで溶接補修が終了する ことはまれであり,通常は多層溶接となる.一般的に多層 溶接においては,表面から溶接後,初層を含めた溶接部を 裏面からガウジングで除去後,裏面から溶接を行う.この ことを踏まえ,かつ,荷重作用下における溶接補修法を確 立するため,初層に生じる割れの発生を容認し,その割れ を裏面から完全に除去することを前提とした繰返し荷重下 における多層溶接実験を実施することとした. 本稿では,繰返し荷重下において,表と裏の両面から多 層溶接することを前提とした補修法を提案する.このた め,繰返し荷重下において炭酸ガス半自動溶接を行い,割 れの発生・進展状況を調査すると共に,最終的に得られる 溶接継手の品質を評価する. [溶接学会論文集 第 29巻 第4号 p. 267-273 (2011)]

A Proposal of Repair Procedure by Welding under Cyclic Loads