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核燃料再処理プラントでは,耐硝酸性環境に使用される 材料として,鋭敏化を十分に抑制した極低炭素仕様(ULC グレード)のオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304ULC, 316ULC,310ULCなど)が適用されている.しかしなが ら,これらの ULC鋼は Cr酸化皮膜の保護性が低下する高 酸化電位の過不働態域で粒界腐食を生じることが問題とな っており,粒界腐食の発生原因となる P,S,Cなどの不純 物元素を一層低減したステンレス鋼の開発が望まれてい た.ごく近年,現行の ULC鋼に対して,C,P,S,N,Oな どの不純物元素を総量で 100 ppm以下に低減させた新しい 仕様のステンレス鋼として,超高純度鋼(EHP鋼)が開発 された.この EHP鋼は,磁気浮上型高周波誘導溶解炉の 還元精錬法(CCIM)と水冷ハースを用いた電子ビーム揮発 精錬法(EB)を組合せた複合溶製法により製造されるが,ア ルカリ金属やハロゲンを含む有害不純物元素を効率的に除 去できることから,過不働態域での粒界腐食を大幅に抑制 できることが報告されている.これまで,筆者らは,超高 純度 310ステンレス鋼の溶接性(耐溶接割れ性)について検 討を加え,SUS310EHP鋼では,耐粒界腐食性に加えて溶接 性も非常に優れており,完全オーステナイト組織であるに もかかわらず,共金溶接(δフェライトを含有しない)が可 能であり,革新的な溶接性を有することを報告した. 一方,核燃料再処理プラントにおいて,より過酷な腐食 環境で使用される材料として,粒界腐食性を一層改善した 高耐食合金の開発も進められている.例えば,高 Cr-高 Ni オーステナイトステンレス鋼は有力な高耐食合金のひとつ であり,Incoloy 800合金相当の無粒界腐食型 25Cr-35Ni超 高純度ステンレス鋼や 30Cr-8W-2Si系 Ni基合金が開発され た.これらの高耐食合金のうち,25Cr-35Ni鋼は前述の EHP溶製法により製造されているが,完全オーステナイト 組織を有し,Crおよび Ni含有量もかなり多いことから, 超高純度化を施しても溶接性(特に耐高温割れ性)に問題 [溶接学会論文集 第 29巻 第3号 p. 187-196 (2011)]

Hot Cracking Susceptibility in Anti-Intergranular Corrosion 25Cr-35Ni Extra High-Purity Stainless Steels