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1. はじめに 人間が触覚を用いて,対象の機械的性質に関する情報を得 る際には,まず触動作を行い,対象との接触により皮膚を変 形・振動させ,それをその直下の皮膚内部にある機械受容器 により計測している.もし,この変形・振動を,対象との接 触状態を妨げることなく測定することが可能であれば,使用 者の感覚を阻害することがなく,使用者が得ているのと同等 の触覚情報を得られるセンサデバイスが実現できると考えら れる.このようなセンサの先行研究としては,Mascaro ら[1][2] による,爪色の変化を利用し指先にかかる力,および指関節 角を推定した事例がある. 我々は,触動作に伴い生じる,指の振動,および指全体の 移動を取得する,指輪型のデバイスを提案する.このデバイ スは,指の根元に装着し,触動作により生じる複数の振動モ ードを取得する.異なるモードの振動や指の移動情報を利用 することにより,接触位置の定位や,対象テクスチャに関す る情報などが得られると考えている. また,このようなデバイスは,触覚情報の取得のみではな く,情報入力インターフェイスとしても用いることが可能で ある.Fukumoto ら[3]は UbiButton というデバイスを提案して いる.UbiButton は手首に取り付けた加速度センサにより指先 に加えたタッピングを検知し,タッピングの回数やリズムを 入力コマンドして解釈するデバイスである.我々の提案する デバイスは複数の振動モードを利用して接触位置定位を行う ことで,指上に仮想のボタン群を配置し,利便性を向上させ ることが可能であると考えられる. 本稿では,3 軸加速度センサを利用した簡便な試作機を用い て,このデバイスの情報入力インターフェイスとしての可能 性を示す.指の先端を叩いた場合と中節を叩いた場合との判 別を,3 軸の出力のうち 2 軸分の出力を利用して行った.

1A2-A08 Tactile Interface using multi DOF vibration on human finger